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古紙ジャーナル バックナンバー

【日本の製紙産業】
「紙冷え」の中で原燃料高騰は初の経験
年代ごとの生産増減、80年代が最高
2000年代はほぼゼロ成長に終わる!?

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2008年1月7日 769号

昨年の日本の紙・板紙生産量は前年並みでほぼ横ばい。2000年をピーク(3,183万トン)に「紙冷え」が続いている。生産が低迷するにもかかわらず原燃料価格が高騰するという、製紙産業にとって経営環境はまさにアゲンスト(向かい風)のまっただ中にある。

1970年代、二度にわたるオイルショックで原燃料価格が高騰した。今と似た状況だったが、需要は好調で玉突き現象から紙・板紙価格も急上昇。この結果、需要が冷え込み、急騰していた古紙価格もたちまち下落するという乱高下を繰り返した。従って今回のように紙冷えの中で古紙価格が騰勢するというのは初めての経験だろう。

こうした状況をもたらしたのは中国製紙産業の驚異的な成長(06年の生産量は前年比900万トン増の6,500万トン)だが、紙冷えの中で中国との古紙獲得競争が続くと、日本の製紙産業は生き残れるのかどうか。

日本の製紙の中で洋紙工場は木材チップ(輸入材が70%を占めるようになったが)をパルプ化して紙を生産するという、一貫生産体制を持つ。こうした生産体制はインドネシアなどを除きアジアでは珍しい。韓国、台湾などはパルプを購入して紙を生産しているからだ。パルプ価格が上昇しているので一貫生産体制はコスト競争力があるといえるが、この10年、抄紙機の老朽化が進み、生産性で見劣るようになった。もっとも昨年から今年にかけて塗工紙マシンが4社4台、新規に稼働する。紙冷えの中での新マシンの稼働はこれはこれで問題も内在しているけれど。

生産の集中度で競争力をカバー

一方、板紙は主原料が古紙、それもほとんど国内で回収された古紙だ。国内か輸入かの違いはあるが、アジアの生産工場と古紙調達条件は同じ。洋紙と同じく2000年以降の新増設は少なく、例外は王子・富士工場の白板紙マシンぐらいか。中国で相次いで稼働する最新鋭の板紙マシンと比較すると、既存の工場は生産性で劣る。

こうした欠点をカバーしてきたのが別表のような製紙マシン1台当たりの生産量の増大(稼働率の上昇)や生産の集中度だ。紙の集中度は10年前に比べて4.8ポイントしか伸びていないが、板紙は王子板紙や日本大昭和板紙の発足もあって、集中度は26.3ポイントも高まっている。こうした稼働率の上昇と生産集中度によって日本の製紙産業は競争力を高めてきたといえよう。

難しい長期予測

1989年に出版された「2010年の紙・パルプ」という冊子がある。刊行は紙・パルプ技術予測研究会。20年後、つまり2010年の紙・パルプ産業を予測するためにまとめられた意欲的な冊子である。産学の代表者が同研究会に名を連ねており、座談会も組まれている。出席者は坂井宏(通産省紙業印刷業課課長)、大西光司(王子製紙最高技術顧問)、関章(日本紙パルプ商事社長)の三氏。司会は竹上譲二氏(日本興業銀行産業調査部)による。いずれも当時の肩書き。

当時は製紙産業にとって高度成長期にあったことなどもあるが、2010年の紙・板紙生産並びに需要量を4,000万トンとしている。まず無難な予測数量としてこれが前提になって会話が進められている。今日を知る我々からみると、こうした長期予測が如何に難しいか、痛感せざるを得ない。2000年をピークに生産が冷え込むなど、当時としては予測ができなかったわけだ。

ちなみに当時の紙・板紙の生産量は2,681万トン、古紙の回収量は1,300万トン。2010年までに今年を含めてあと3年あるが、紙・板紙の生産量は当時より430万トンしか増えていないが、古紙の回収量は1,000万トンも増えた。紙冷えの中で古紙回収が大きく伸びたわけだ。

80年代が過去最大の生産増

1940年代から約70年間の紙・板紙の生産推移をざっと振り返ってみよう。戦前の昭和15年(1940年)154万トンあった生産量は敗戦で昭和21年には7分の1の21万トンに落ち込む。戦前の生産を上回るようになったのは1953年(昭和28年)で、176万トンまで回復。ともあれ1940年代は戦争のために91万トンのマイナス。

戦後復興期の50年代は300万トン増と順調に発展。高度成長期に突入した60年代は680万トン増と成長が加速した。70年代は二度のオイルショックでブレーキがかかり、489万トン増にとどまる。80年代は872万トン増と再び成長軌道に。これが結果的には過去最大規模の増加となる。

90年代に入ると254万トン増と成長に陰りがみられ、50年代の増加量を下回った。さらに2000年代に入ると、00年をピークにマイナス成長が続き、昨年も前年比横ばいの3,111万トン前後にとどまったもよう。09年までには3,183万トンを辛うじて上回りそうだが、ほぼゼロ成長に終わる見通しだ。

90年代は原燃料コストが安定

成長予想が大きく狂ったことで、90年代以降、製紙業界の再編・集約化が進んだ。板紙企業数は70年代の約150社に比べて3分の1にまで減少した。この間、古紙は値下がりし、チップ、パルプ、重油なども円高の進行などで下落した。紙・板紙の成長が鈍化したものの、90年代から2000年代前半にかけては原燃料コストは製紙にとって安定した時代だったといえる。

この環境が一転してきたのは06年頃から。重油の値上がりに加えて、製紙原料などが上昇してきた。つまり生産の紙冷えが続く中で原燃料価格が高騰するという、かって味わったことのない試練がやってきたわけだ。日本の製紙産業は内需型産業として成長してきたので、紙・板紙の成長が鈍化すれば、重油、チップ、パルプ(これらは輸入に依存する)はともかく古紙は余って当たり前。低成長下で古紙が不足し、価格が上がるということはまさに想定外だ。

日本の紙・板紙生産量の推移

紙・板紙生産量の推移

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